どっこい生活のブログ

買ったり捨てたり

祇園 かね正

祇園をウロウロしている時に見つけたこの貼り紙。

「うな丼2000円って、安いんちゃう〜?いっかい、行ってみよ。」と、行ってみました。



ネットで調べてみたら、結構有名ドコロで期待は高まります。

開店時間の2分前に着いたら、すでに2人✕3組待ちで、私達で8人でした。その後に並んだ人は「一時間待ちです」と言われておられました。

「うちら、食べるのに一時間もかからへんのになー」と言いつつお店へ。

四人席の机3つとカウンターが6席。カウンターの間を空けているため、私達の後ろの人は入れなかったようです。

さて、お店に行った日は、いつも一緒に美味しいものを食べている同行者の誕生日でした。「うな丼2000円は安い」と言ってたことはすっかり忘れ、「誕生日なんやし、うな重やでー。」と、うな重3800円を食べることにしました。


すると、全員の注文を聞いてから、おもむろに鰻を焼き始めるご主人。。。

そう、これから焼くのです。

鰻を焼くのに使っておられるウチワは、お茶屋さんで祇園の舞妓さんからもらえるウチワでした。白地に赤い縁取りがあり、中央に赤で舞妓さん(芸妓さんかも)の名前が書かれています。


待ってる間は、小声で話したり、お茶を飲んだり、薄焼き卵を錦糸に切っていく様子を見たりして過ごします。私達はうっかりAmazonのサイトを見て、プロテイン等を購入してしまいました。料理の待ち時間に買い物ができるなんて、エライ時代になったモンですな。


そして、ピッタリ30分後に全員の料理が完成しました。


まずはパチリと一枚。


蓋を開けて一枚。


そうしたら、お吸い物がやってきたので慌ててもう一枚。


これ以上、ここで写真を撮る勇気はありませんでした。いや、別に怒られはしなさそうですし、お店の方も優しそうな方なのですが、お店の雰囲気がそうさせます。

3枚撮ったのは頑張った方です。撮るのに失敗してたら諦めていたと思います。


そして、味はと言いますと。


…ほぅ、上品。


今まで食べた鰻の中で、一番上品、ダントツに上品です。荒々しさのカケラもない。カドもない。柔らかくてホワッとしていて、脂はのっているけれどしつこさもない、そんなうな重でした。

『バファリンの半分は優しさでできています』が普通のうな重だとしたら、このうな重は『すべて優しさでできています』って感じです。伝わりませんか、そうですか。。。


今まで、名古屋で滋賀で三重で京都で、美味しいと聞く鰻を食べてきました。どれも素晴らしく美味しかったです。うな重やらひつまぶしやら、荒々しくガツガツと食べるワタクシです。

が、このうな重は、なぜか姿勢を正し、静かに食べました。お店の中の他の方々も、ほとんど話されてなかったように思います。自然にそうなる空気のお店でした。


そして、お店に入ってピッタリ一時間後。

測ったかのように全員が順番に会計をしてお店を出ました。ちなみに、全員に料理が出たあと、すべての調理器具を洗い、拭き上げておられました。


私達が最後に出たところ、お店の前で次の方々が並んで待っておられました。

また、イチから始まるのでしょう。


なんだか輪廻の渦に巻き込まれたような、不思議な気持ちになりました。

これが祇園のチカラなのでしょうか。